個人情報保護法と機密書類管理|企業が最低限守るべきポイント

機密書類の管理は、単なる「社内ルール」ではなく、法令遵守(コンプライアンス)の問題でもあります。
とりわけ氏名・住所・連絡先・購買履歴・人事情報などの個人情報を含む書類は、個人情報保護法への対応が欠かせません。
個人情報保護委員会(PPC)のガイドラインでも、個人データを守るための安全管理措置が求められており、対象は電子データだけでなく紙の書類も含まれることが明確です。

個人情報保護法と書類管理の関係

個人情報保護法では、個人情報取扱事業者に対し、取り扱う個人データの漏えい・滅失・毀損の防止など、安全管理のために必要かつ適切な措置を講じることが求められます。
PPCのFAQでも、安全管理措置の対象が「個人データ」であることが説明されています。
そしてこの「安全管理」は、サーバやPCだけの話ではありません。
PPCのガイドライン(通則編)では、書類を含む盗難・紛失防止や、書類の持ち運び時の漏えい防止など、物理面の対策が具体的に示されています。

企業が最低限意識すべき管理ポイント

ご提示いただいた3点(不正アクセス防止/紛失・盗難防止/適切な廃棄)は、まさに「最低限」です。
実務では、次のように“紙の運用”まで落とし込むと事故が減ります。

1)不正アクセス防止(=「見られない仕組み」を作る)

紙の場合の“不正アクセス”は、端的に言えば「見えてしまう状態」です。

  • 施錠されないキャビネット、共有棚への放置
  • 複合機周辺の出力物の放置
  • 来客・外部業者の動線上に書類がある

PPCの簡易教材でも「誰でも見られる場所に放置していないか」が注意点として挙げられています。
対策は、保管場所の固定・施錠・閲覧権限の明確化
さらに「印刷したら回収」「机上放置禁止」など、日常動線に沿ったルールが有効です。

2)紛失・盗難防止(=“持ち出し”が一番危ない)

紙は、移動した瞬間にリスクが跳ねます。
PPCガイドライン(通則編)では、書類を含む盗難・紛失防止、持ち運び時に個人データが容易に判明しないような方策が求められ、事業所内の移動でも留意が必要とされています。

対策としては、

  • 持ち出し申請・持ち出し台帳
  • 封緘・見えない梱包(書類タイトルを外側に書かない)
  • 移動中の一時置き禁止

など、**“移動のルール化”**が重要です。

3)不要になった際の適切な廃棄(=“復元できない”が基準)

個人情報保護法は、保存期間を一律に定めてはいませんが、PPCのFAQでは「利用する必要がなくなったときは、個人データを遅滞なく消去するよう努める」とされています。
またPPCは、データ消去について「復元不可能な手段での消去」や、外部委託時の注意喚起を行っています。
紙で言えば、シュレッダーでも運用次第で“滞留”が起きがちです。
大量時ほど置きっぱなしになりやすく、ここが事故の起点になります。
廃棄は「処理方法」だけでなく、廃棄待ちを作らない運用がセットです。

「保管」と「廃棄」はセットで考える

適切な管理とは、保管だけでなく廃棄まで含めた仕組みづくりです。ポイントは2つ。

  • いつまで保管するのか:法令・契約・社内規程で保存期間を決め、箱や台帳に「保存期限」を見える化
  • どの方法で廃棄するのか:復元困難な方法を選び、廃棄の頻度(例:四半期ごと)と承認フローを固定化

PPCの教材でも「不要になった情報は適切に廃棄・削除することが大切」と明記されています。
“捨てどき不明”を放置すると、書類が増え、管理が雑になり、結果として漏えいリスクが高まります。

外部サービス活用という選択肢

法令対応を社内だけで完結させるのが難しい場合、専門業者のサービス活用は合理的な選択肢です。
特に、回収〜処理〜証跡(廃棄証明など)までの運用が整うと、再現性のある管理に近づきます。
PPCもデータ消去を外部委託する場合の留意点を示しており、委託先管理を含めた体制整備が重要になります。

機密書類管理は「企業の姿勢」が問われる

個人情報保護法への対応は、電子データだけでなく紙の書類にも及びます。
最低限押さえるべきは、**見られない(不正アクセス防止)/なくさない(紛失・盗難防止)/不要なら確実に消す(適切な廃棄)**の3点。
これらを怠れば、法令違反リスクだけでなく、社会的信用の低下にも直結します。
「うちは大丈夫」と思った瞬間に運用は緩みます。
ぜひ定期的に、保管場所・持ち出し・廃棄の運用が“仕組み化”できているかを点検してみてください。

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